犬を1頭飼っていて、もう1頭飼ったところ、2頭が喧嘩を始めて困っているという方はとても多いです。
犬は生後2ヶ月から6ヶ月を社会化期と呼び、多くの犬と触れ合い、噛んだ時の強弱のコントロールの方法や喧嘩の作法などを学びます。
日本で飼われる犬の多くは社会化期で体験しておくべき経験が欠如しているため、噛んだ時のコントロールや喧嘩の作法が分からず、歯止めが効かず、エスカレートしてしまうことがあります。
犬が喧嘩する理由と対策についてお知らせします。
目次
犬が喧嘩をする理由
(1) 群れの序列争い
野生の群れでは日常的に序列を巡って喧嘩するのですが、どちらかが降参することで早々に決着がつきます。
飼育下でも死に物狂いで喧嘩をしていない限り、放っておき、序列が確定するのを待つのが先です。
この争いが終わったら、飼い主は序列を見極め、序列を尊重します。
(2) メスの奪い合い
オス2頭にメス1頭という場合に起ります。
オスはメスをめぐって、終わりのない命がけで喧嘩することになります。
唯一の解決策は去勢避妊手術をすることです。
元々、犬の群れは1つの夫婦を頂点に形成されるので、飼育下に置いてもオスは1頭のメスを独占しようとするのです。
(3) 嫉妬
ある特定の犬が群れのリーダーである飼い主から優遇された場合、面白くない犬は優遇された犬を攻撃し、喧嘩することがあります。
過去には、多頭飼育下でハンドラーが特定の犬をひいきした結果、その犬は群れの犬たちから攻撃され、亡くなるという事件が起きました。
この事件では序列を無視した可愛がりは嫉妬以外にも群れの崩壊を招くと犬たちは考えたのだとされます。
それほどまでに犬にとって序列は大事なのです。
飼い主に可愛がられるのも序列が上の犬が優先されるので、飼い主は序列が上の犬から可愛がりましょう。
下位の犬が攻撃ばかりされて可哀そうだからと可愛がると、余計、攻撃されるだけです。
(4) 縄張り争い
オスが2頭以上の飼育下で起こりやすいです。
親子であっても成犬である限り、オス同士はライバルです。
(5) 仲が悪い
純粋に相性の問題です。
過去に食べ物を横取りされたとかそういう出来事があって、食事の時だけ喧嘩をするケースもありますし、何もなくても犬同士気に入らなければ喧嘩をします。
犬が喧嘩をする時の対策
理想はよく犬を観察し喧嘩をしそうになった時に、「ダメ!」と短く、かつ鋭く声を掛けることです。
もし、喧嘩を始めても「ダメ!」で終わるのが理想です。
更に、犬が動こうとするのなら、「おすわり」をさせ、犬が落ち着くのを待ちます。
しかし、悩んでいる人の多くは上記のことを分かっていてもうまくいっていません。
理由は3つあります。
(1) 迫力と気迫がないため、伝わらない。
犬に伝わらないと嘆く方は「ダメよー」とお友達にでも気楽に注意をするようなノリで犬に接している場合が多いです。
犬は大好きな飼い主さんが本気で怒っていないことを見抜き、まだまだ自分は許してもらえるとも考えている可能性すらあります。
犬を叱る時は、照れなどを一切なくし、「ダメ!」と短く一喝をし、犬をビクッとさせるのです。
この時、飼い主の怒っているぞという気持ちと気迫が大切です。
ダメな叱り方は「いけない! ダメ! やめて!」と長々と言うことです。
長々と言われた犬は更に興奮するだけな上に、飼い主が喜んでいるや応援してくれていると勘違いしているケースすらあります。
(2) 犬がリーダーとなっている。
犬の社会ではリーダーは独裁者になってもいいので、自分より下である仲間の言うことは聞かなくてもいいのです。
激しく要求吠えをされるようなら、犬が家族という群れのリーダーになっていて、人間は目下になっています。
もし、飼い主がリーダーとして認められていないのなら、服従トレーニングから始めます。
(3) 犬が本気で喧嘩をしている。
この場合は喧嘩を止めるように注意をするよりも、原因を特定し、喧嘩にならないように対策したほうが楽です。
まとめ
犬が喧嘩する理由は様々あり、理由によって対処法も違います。
なお、凶暴化した犬の喧嘩は飼い主が下手に止めようとすると流血沙汰になるので、何回止めても止めない場合はドッグトレーナーなどのプロの手を借りて解決することが必要です。
そして、犬が家の中で喧嘩をしているのは遊びや走ることが足りなくて、運動不足なのかもしれません。
体の中にエネルギーが有り余っている状態だと、犬はそれを持て余し、問題行動に発展させてしまいます。