犬には群れのリーダーについていく、もしくは自分がリーダーとして群れの先頭を歩くという習性があります。
そのため、犬の散歩のしつけのコツは飼い主が犬のリーダーとして、十分な信頼を得ることに尽きます。
そのため、飼い主には普段から穏やかで毅然としたリーダーとしての態度が求められており、これが出来ていない限り、飼い主主導の散歩も難しいと言わざるを得ません。
散歩は犬の運動不足とストレス解消や排せつのためだけにあるのではなくて、飼い主と犬の主従確認の場でもあります。
目次
犬の散歩のしつけの基本「リーダーウォーク」とは?
犬は狩猟本能があるため、何かが動いたと感じたら、そちらに関心が行き、追いかけることがあります。
それを防止するのが飼い主の横で犬を歩かせるリーダーウォークというものです。
リーダーウォークとは飼い主が主導権を握り、散歩をすることです。
飼い主が主導権を握ることにより、犬は常に飼い主を気にすることにより、動くものを追いかけるといった問題行動が減ります。
なお、リーダーウォークは犬が常に人間を気にするということで、犬の負担になるのではと考える方もいるかもしれませんが、犬の習性では負担ではありません。
本来の犬の群れではリーダーは常に外敵に警戒し、集中しています。
一方、仲間たちはリーダーの動向を常に気にすることは、リーダーに安心して身を任せている状態でもあります。
犬の散歩のしつけの基本「リーダーウォーク」のやり方とは?
(1) 犬にリードをつける。
この時、犬が首輪ではなくハーネス着用の場合、とっても引っ張りやすい状況ですから、首輪をつけて下さい。
しつけ用の首輪は前に進もうとした犬の首を絞めるといった犬にとっては良くないものが多いので、普通のものを使用します。
リードの長さは人間がリードを持って、犬が横についた時、程よくたわむ程度。
長過ぎるとしつけがうまくいかない上に、犬が走り出してもコントロールが出来なくなる可能性があります。
(2) 飼い主が犬よりも先に家を出る。
先頭を行くのがリーダーです。
そのため、どんな時でも人間が先に家を出ます。
先に犬が家を出た場合は、家の中に戻ります。
数回繰り返してもうまくいかない場合、散歩をやめてもいいですが、「今日はこの辺でいいか」という中途半端な気持ちで散歩に行くことが一番いけません。
犬としては、「リーダーの自分が前を歩くのは当然なのに、今日の飼い主は変だったな。やれやれ」くらいにしか思いません。
この犬の状態が更に進むと、「人間にどっちがリーダーかちゃんとしつけてあげないと!」と飼い主へ善意から攻撃的な行動に出ることになります。
犬にとっての生き方は群れのリーダーに従うかリーダーとなって群れを従わせるかの2つしかありませんから、本来のリーダーである飼い主が折れてはいけません。
飼い主は毅然と、しかし、穏やかさを常に心がけ、犬と接する必要があるのです。
(3) 飼い犬に前を歩かせない。
飼い犬が飼い主より前を歩こうとしたら、飼い主は立ち止ります。
犬の力が強く、その上、若い場合は血気盛ん過ぎて、飼い主が動いていないことに気付かないことがあります。
犬に気付かせ考えさせるということが大切なので、その場合も気付くまで待って下さい。
犬の力が非常に強い場合は腰ベルト付きのリードを使用し、全身に力を込めて、犬の前進を阻みます。
犬が前に進めないことに気付いた場合、「何故、進めないのだろう」と考えることになります。
それで、もし飼い犬が飼い主のほうに寄ってきたら、たくさん褒めてあげます。
これを繰り返すと、「自分は飼い主より前に進んじゃいけないらしい。飼い主の側にいればいいことがある」と学習します。
犬の知能は人間に劣るので、数回やっただけでは学習しない可能性が高いです。
しかし、主従がしっかりと確立していれば、何日も何回も繰り返すことで犬は分かってくれます。
主従が確立していない場合は、犬が分かってくれたとしても従ってくれません。
(4)犬とは反対方向に歩き出す。
犬が飼い主の元に戻ってこず、犬の動きが止まったままの場合、犬とは反対方向へと歩き出すか犬が歩くまで待ちます。
犬が飼い主の後ろや横をついて歩いたら、褒めます。
間違っても、飼い主が犬の側に行ってはいけません。
リーダーは飼い主なのですから、犬のほうが飼い主の元に行くのが筋というものです。
犬は一度だけではリーダーウォークは身につかず、何度も前へ行こうとするでしょうが、その度に(3)や(4)を繰り返します。
うまく犬が飼い主の横を歩いている時にはたくさん褒めてあげます。
自分が恥ずかしくなるくらいに、大袈裟に褒めるのがコツです。
犬にうまくいかないからと怒っても、怒られた理由が分からないどころか独自解釈をすることもあります。
そのため、しつけにおいては怒らず、焦らず、じっくりとすすめることが鉄則です。
まとめ
散歩のしつけに限らず、犬との生活には飼い主が24時間、毅然とした穏やかな姿を犬に見せ続け、尊敬を得ることが欠かせません。
そのため、飼い主には強い生命力が必要なのです。
犬の群れで行動を決め、前へ進むのは常にリーダーです。
常に群れの先頭を行くリーダーは仲間と群れを守るために、一番最初に危険な目にも遭うというリスクを背負っています。
そのため、群れの仲間たちはリーダーの下、安心して暮らすことが出来ます。
人間には違和感があるかもしれませんし、犬とは対等な関係でいたいと思う方もいるかもしれません。
しかし、犬というものは人間社会に適応した生き物ではなく、人間が犬の習性をうまく利用して、人間社会の一部に組み込んだのです。
犬の習性と人間社会をうまく折り合わせているといったほうが正しいのであり、犬の飼育に人間の理屈を持ちこんでもうまくいかないのです。