犬が散歩中に飼い主を引っ張って困るというのはよくある悩みです。
小型犬ならば女性でも扱えますが、中型犬以上になると力も強く、転んだや脱臼したという女性飼い主も少なくありません。
何故、犬は引っ張るのか、そして、対策はあるのかを解説します。
目次
犬が散歩中に引っ張る原因
引っ張ってはいけないことを知らない。
これは飼い主が引っ張ることはいけないと教えないのが原因です。
教えているつもりでも、犬に伝わっていないということです。
犬は聴覚に優れていますが、人間の言葉がそのまま聞こえているわけではありませんし、言葉を理解しているわけではありません。
犬は飼い主の声の調子や音程で判断をしています。
そのため、飼い主の制止の声が、「行こう! もっと行こう!」というようなニュアンスに犬が聞こえている場合も多いです。
犬にしてみれば、飼い主の甲高い「やめて」の声が、喜びの声に聞こえるのです。
自分勝手になっている。
犬がリーダーになっているという表現もありますが、甘やかされたりして、自分が好きなように動いてもいいと思っているということです。
つまり、飼い主は犬に見下されています。
人間は古い時代は肉食動物の獲物でしかありませんでしたが、犬のお陰で獲物から脱することが出来たのです。
そんな人間のあり方さえ変えた犬の知能を可愛いからと見くびってはいけません。
犬は学習能力が高く、複雑な感情を持ち、人を馬鹿にしたり、利用することも出来ます。
最悪の場合、吠える、噛むといった問題行動に発展します。
先頭を走る衝動を抑えられない。
これは家庭犬というよりは猟犬といった特殊な犬にあるようです。
元々、犬にとっての散歩は獲物を探す探索行動の再現であり、実際に猟の仕事に従事し、探索行動を行う猟犬はしなくてもいいと指示をされても散歩中に探索行動をしてしまうのでしょう。
そのため、(1)や(2)とは違うケースです。
元猟犬や現役で猟犬という事情がない限り、家庭犬では(1)や(2)のどちらかが原因です。
犬が散歩中に引っ張る時の対策(しつけ方)
犬が引っ張ってはいけないと知らない。
犬がお座りや待ての指示を聞いてくれている場合、犬は飼い主を尊重していますから、自分勝手ではありません。
そのため、単純に引っ張ってはいけないと理解していない可能性が高いです。
まず、引っ張ることはいけないと理解してもらわなければいけません。
興奮しながら走っている犬に、「ダメ」と声を掛けても効果はありません。
まず、道具を使って走るとうるさいと不快感を与えます。
鈴を用意して、散歩に行く時、首輪につけます。
鈴は小さいと音が小さいので、大きいものをつけたり、複数個つけたりと工夫して下さい。
他にも、ジェントルリーダーという走ると首が横を向いてしまうというものもあります。
なお、鈴もジェントルリーダーも散歩の時だけ使い、日常使いは避けて下さい。
犬も、「飼い主がこういうのつけるということは、走ってほしくないんだな」と考えます。
犬が自分勝手になっている場合
犬と人間との暮らしで大切なのは、信頼関係です。
信頼関係を築くためには人は犬を尊重し、犬は人を尊重するというルールをお互いが守らなければなりません。
現状は人間が犬を一方的に尊重するという大昔の王様と召使いの関係になっています。
そのため、王様のようにわがままになった犬が好きに散歩をしても構わないですし、どんな風に振る舞おうが自由になっています。
こんな状態では、道具を使ったところで犬は、「何故こんなものをされるのか」と屈辱でしかなく、理解は出来ません。
無暗な道具の使用は最終的に絆や信頼関係はなくなり、犬に恐怖心を植え付けるだけになりかねません。
大切なのは犬と飼い主の絆であり、お互いの信頼関係です。
人によって言葉は様々ですが、人が犬のリーダーや親になるということです。
リーダーだろうが親だろうが、飼い主の言葉の選び方の問題であり、やることは同じです。
犬にわがままは通用しないことを教え、人間を尊重するように要求をするために、犬に接する態度を改めます。
この時、家族でしっかりと話し合い、犬に接する態度を統一します。
そうでなければ、犬に甘い人間が、「早く言うこと聞け!」と攻撃されかねません。
まず、犬が要求吠えをしたら、犬がいる部屋とは違う部屋に行き、無視します。
ずっと吠えるでしょうが、我慢します。
ご近所迷惑になるという思いもあると思いますが、犬が吠えても無意味だと学ばなければ一生吠えます。
食事を与える時も、犬がお利口にしていない限り与えません。
吠えたら、エサは与えずに無視をします。
犬に人を尊重するとは何か、一緒に暮らすためのルールとは何かを態度で教えるのです。
妥協すると、ダブルスタンダードになり、犬は、飼い主に従わなくてもエサはもらえると学習し、しつけの効果がありませんし、ルールの意味がなくなります。
犬にしてほしくないことをされた時は犬を叱らなければいけませんし、犬が良い行いをした時は褒めたり、ごほうびをあげます。
犬にルールを教えながらも、一緒にボール遊びをしたり、マッサージをしてあげたりして絆を育みます。
この時も犬が吠えたり、噛んだり良くない行動をしたら、遊びやマッサージを終了し、良くないことだと教えます。
犬が人間を信頼し、お互いが尊重しあうようになったら、散歩の時に引っ張らないようにすることを教えます。
まとめ
犬が散歩の時に引っ張る原因は3つあります。
(1) 引っ張ってはいけないことを知らない。
(2) 犬が自分勝手になっている。
(3) 先頭を走る衝動を抑えられない。
のどれかが原因であることが多いです。
家庭犬の場合、(1)か(2)が原因であることがほとんどです。
(1)なら、犬に引っ張ってはいけないことを学ばせ、(2)ならば、飼い主の態度を改める必要があります。
(3)は狩猟犬といった特殊な経歴の犬にあることがあり、家庭犬では稀です。