犬の甘噛み(あまがみ)に悩んでいるという飼い主は多いです。
最初は甘噛み(あまがみ)をされても痛くなかったために、放置してしまい、成犬になっても止まらないのです。
中には、注意をしているのに、甘噛み(あまがみ)が収まらないという方がいます。
犬の甘噛み(あまがみ)をやってはいけないと犬に理解させるためのしつけ方を解説します。
犬の甘噛み(あまがみ)のしつけを失敗した理由
(1) 犬と人間の間で主従がしっかりしていない。
犬が従うのはリーダーであり、飼い主だからという理由で犬は飼い主に従いません。
(2) 怒り方が間違っている。
犬がよく吠えるのは自分の要求を相手に飲ませたい時や興奮している時であることが多く、叱るというニュアンスはありません。
そのため、人間が甘噛み(あまがみ)をされた時、「痛い。もうだめでしょー」と長々と言ったところで、犬は叱られたという風に理解はしません。
逆に、「噛んだら、飼い主さんが喜んだ。嬉しい」というように思っているかもしれません。
犬の口を掴むというマズルコントロールもやり方が間違っている場合があります。
(3) 可愛がり過ぎている。
可愛いからとよく撫でてはいませんか?
犬の世界では下位の犬が上位の犬にご機嫌を窺う時、上位の犬の体を舐めるのですが、人間の撫でるという行為はこれに酷似しています。
そのため、犬は人間に撫でられると、「人間は自分にゴマスリをしているから、格下」と解釈をします。
その他にも、抱っこをしていませんか?
犬の世界では上位の犬が前足やあごを下位の犬の体の上に置きます。
だっこも同じように、人間の体の上に、前足や顎を置く状態になりますから、「人間は自分より格下」という解釈をされてしまいます。
犬の先祖は狩りをすることで、エサという報酬を得て生きていました。
その先祖の本能を引き継いだ犬にとって、撫でることや抱っこ、おやつ、エサというのは人間に服従をした報酬として人間が渡すものなのです。
この考えに抵抗を持たれる方もいるかもしれませんが、犬は人間化された生き物ではなく、犬の上記の習性を利用して人のペットとなっているのです。
それに、人間も働かない限り、給料をもらえません。
犬の世界でも家族や飼い主のために働くからこそエサや撫でるといった報酬を得るのが普通です。
犬が働かずに報酬を得られる立場になった場合、増長するのは当然です。
犬の甘噛み(あまがみ)のしつけ方
甘噛み(あまがみ)は生後3ヶ月から4ヶ月から始まります。
本来なら、母犬が叱り、甘噛み(あまがみ)をやめさせ、兄弟犬たちと噛みあうことで数ヶ月かけて噛むとはどういうことか噛んではいけないものは何かなどを学んでいきます。
しかし、日本では生後2ヶ月から3ヶ月で家に来ることが多いので、母犬や兄弟犬たちから学ぶことは出来ません。
そのため、飼い主が根気強く教える必要があります。
生後3ヶ月の犬はまだ知能が低いので怒っても忘れますが、何ヶ月かけてでも根気強くしつけていきます。
成犬の場合は数ヶ月単位ではなく、数年単位になるかもしれません。
では、しつけ方を解説します。
(1) 甘噛み(あまがみ)をしそうな時に、「ダメ」と叱り、背中を向け、その場を立ち去る。
(2) 甘噛み(あまがみ)をされた時は、「痛い!」と声を上げてから、「ダメ」と短く叱り、背中を向け、その場を立ち去る。
上記の2つのやり方は背中を向けた後は犬の存在を無視するというものです。
群れ生活でなければ、エサを得ることが出来ない犬にとって、群れから無視されることはエサの分け前を得られないリスクを背負い込むことになります。
そのため、自分の存在を丸ごと無視されるというのが犬にとって、1番嫌な叱られ方であり、犬の群れにおいても群れに迷惑を掛けた犬は反省するまで無視されるのが基本です。
(3) 甘噛み(あまがみ)をされたら、口を軽く掴んで、「ダメ!」と叱り、背中を向け、その場を立ち去る。
この口を掴むやり方はマズルコントロールと呼ばれ、母犬が子犬を叱るやり方です。
母犬は子犬が怖がらないようにごく軽い力でやるのですが、人間が犬にやる時は、つい力が入ってしまうことがあります。
口が武器であり、生きる上でも重要な犬にとって、口を掴まれる行為は非常に嫌なことなので、軽い力で掴まれるだけで効果があるのです。
逆に、力を入れて掴むと、犬に恐怖心が芽生え、自分を守ろうとするようになり、マズルコントロールをしてきた人に対して、唸ったり噛むようになることがあります。
まとめ
犬の甘噛み(あまがみ)は子犬の時の一時の症状ではありません。
生後3ヶ月以降に始まる甘噛み(あまがみ)は母犬に叱られ、兄弟犬とのコミュニケーションで、仲間を噛んではいけない、噛まれたらどれだけ痛いかということを数ヶ月かけて学んでいきます。
しかし、日本の家庭では生後2ヶ月から3ヶ月の間に家に来ることが多いため、甘噛み(あまがみ)を何ヶ月もしつけてくれる母犬はいません。
そのため、人間が母犬代わりとなって長い時間かけて、しつけていく必要があるのですが、しつけをしていない飼い主も多いです。
生後3ヶ月や4ヶ月程度の犬は知能が低いため、1回教えただけではやめませんから、数ヶ月単位でしつけ続けます。
成犬の場合はそれまでの人間との関係性もあるので、更に長い時間が掛かります。