犬が吠えるから困っているという飼い主はとても多いです。
何故なら、犬は本来吠えることで自分の感情を表現する生き物だからです。
それでも、人間社会で暮らすためには犬には無駄吠えを抑えてもらわなければいけません。
飼い主さんの中には、近所から苦情が来て、手放してしまったという方もいますが、無駄吠えの原因を作ったのは他ならぬ飼い主でもあります。
犬の状態によっては吠える犬は人間にいつ噛みついてもおかしくない場合もあるので、専門家への相談を視野に入れることも大切です。
目次
犬が吠える原因とは?
(1) 要求をしている。
「ご飯が欲しい」「ケージから出して」など。
飼い主が中途半端に犬に接した結果、犬は、「吠えたら、人間は言うことをきくもの」と学習しています。
つまり、犬にしてみれば、飼い主は下僕のようなものです。
(2) 不安や恐怖心が強い。
落ち着かせようと、無暗に撫でようとしたり、抱き上げると、驚いた犬に噛みつかれてしまいます。
母親と早くに引き離された犬や本来は多くのものと接しなければならない社会化期に家で過ごすことが多かった犬に見受けられます。
(3) 威嚇している。
道行く人や宅配業者に吠える場合は、「縄張りの中に入ってきた敵を追い払う」という番犬としての仕事をしています。
ただ、道行く人が道路を通り過ぎた場合でも、「やった! 追い払ったぞ!」と犬は喜びを感じています。
飼い主に威嚇する犬は、飼い主を敵か下僕とみなしており、完全に主従が逆転している状態です。
(4) 興奮している。
飼い主が帰宅した時、興奮して吠えている犬を撫でたりして可愛がったりすると、「嬉しい!」と喜びを爆発させてしまいます。
散歩中などに興奮するという場合も生来の性格です。
(5) 運動不足
人間は狩りをする時、道具や頭を使います。
しかし、犬は走り回り、全身をフルに使い、狩りをします。
そのため、人間にとっては運動のレベルでも犬にとってはその辺をうろついた程度で物足りないことがあります。
その欲求不満が無駄吠えになることがあります。
暇を持て余した人間が苦痛を感じるように、犬も暇を持て余すと苦痛を感じるのです。
家を破壊する犬はテレビでおバカ犬と取り上げられたりしますが、そういう犬ほど運動が大好きな犬種で1日30分しか散歩をしていないということが多く、典型的な運動不足であることが多いです。
運動不足の犬は普段、抑えられている分、何かの拍子に狩猟本能が爆発することがあり、人間に被害が及ぶこともあります。
犬がどのような理由で無駄吠えをしているのかを見極める必要があります。
吠える犬のしつけの方法
原因によって対策は違いますが、どの原因であっても前提条件として飼い主と犬の信頼関係に基づく主従が明確になっていることが必要です。
人間だって、部下に怒られて面白い上司はいないのと同じように、犬も自分より立場が下の存在に意見されたくないのです。
吠える理由によっては噛むという行動の前段階でもあり、犬の状態によっては専門家に委ね、飼い主も犬との接し方を学びましょう。
(1) 要求をしている。
犬を毅然と、しかし穏やかな態度を心がけ、無視するのがセオリーです。
この時、犬を気にしてチラリとでも犬を見る飼い主が多いですが、これだけでも犬は、「自分の要求が少し通った。あと少しだ、頑張ろう」と前向きに解釈し、鳴き止むことはしません。
鳴き止まない理由は、犬社会では目下がリーダーの言うことを聞くのが常識であり、リーダーが折れてしまえば、この主従が崩れ、群れのリーダーが入れ替わることを意味するからです。
大切なのは、話し掛けないことではなくて、犬の存在そのものを無視し、空気にすることなのです。
飼い主が犬を気にするのは当たり前ですから、吠える犬がいる時は飼い主が部屋を出るなりして、物理的に犬と距離を置いて下さい。
犬が鳴き止み、落ち着いた状態だったら、思いっきり褒めて、おやつを与えます。
人間が主導権を握った上で、エサやおもちゃなどを与えた場合、犬は人間をリーダーとみなすようになります。
なお、吠えられ続け、エサやおもちゃを与えてしまった場合は、犬は人間を召使いとみなします。
エサや物を与えるシチュエーションというのは主従を決める上で、非常に重要ですから、主導権は常に飼い主が握ります。
叱る時は気持ちと気迫と威厳を大切にして、「ダメ!」と短く叱ります。
イメージとしては不動明王に一喝されるような感じです。
気迫と気持ちを態度で伝えることが一番なので、余計なことは言いません。
(2) 不安や恐怖が強い。
雷など犬の本能による恐怖の場合もありますが、とにかく原因を探ることです。
雷など犬の本能による恐怖の場合は、しつけで直るものではないので犬が安心して逃げ込める場所を作りましょう。
犬は暗くて、狭い場所が落ち着きますから、部屋の隅に置いたケージなどに自由に出入り出来るようにしましょう。
人間全般や犬全般が怖いのなら、社会化期と呼ばれる生後2ヶ月から6ヶ月の間に他の犬や人間と接してこなかったことが原因ですから、慣れるしかありません。
この場合、車越しや家越しから他の犬と人を見せ、少しずつ慣れさせます。
急に、ドッグランに連れていってもトラブルが起こるだけです。
吠えそうな場合は、「駄目!」と言います。
吠えてからでは遅いので、犬を観察し、吠える前に注意をし、おすわりをさせます。
犬が吠えなかったら、たくさん褒めます。
飼い主の、「大丈夫よ」などの声掛けはいりません。
声掛けは犬が、「何かあるのかも!」と考え、恐怖が増す場合がありますから、飼い主は毅然と、かつ穏やかにしていれば充分です。
犬のリーダーとして飼い主がきちんと機能していれば、飼い主の態度を見ただけで犬は、「大丈夫!」と安心します。
散歩でも吠える前に、「ダメ!」と注意し、おすわりをさせ、何もしなかったら、褒めるを繰り返します。
なお、不安や恐怖を感じている犬は自分を守るために、他者を噛みやすい状態にあります。
落ち着かせようと撫でたり抱き上げることは厳禁です。
(3) 威嚇している。
飼い主に威嚇しない限りは犬としての仕事を果たしているともいえますが、「守るんだ!」という意識が強くなり過ぎると、噛むという行為に発展します。
庭で飼っている犬に多い行動なので、室内飼いをおススメします。
第1の対策は犬が何に威嚇しているかを見極めることです。
室内飼いで、外を歩くものに威嚇するのなら、窓の下半分を塞ぎ、犬から外を見えなくさせます。
吠える時間帯に犬をよく観察し、吠える前に、犬を呼び、おやつをあげたり、遊んだりして犬の気を引きます。
もしくは、協力者を用意して、おやつを投げ入れてもらい、道行く人は犬にとって、とてもいい存在だと植えつけます。
来客に威嚇する場合もトレーニングを行います。
まず、協力者には家の外でスタンバイしてもらい、犬をおすわりさせて、落ち着かせます。
協力者が玄関を開けても、その状態をキープします。
うまくキープ出来たら、おやつを与えます。
協力者からもおやつを与えてもらいましょう。
徐々に、協力者が家の中に入っても吠えないようにしつけていきます。
1度成功しただけでは犬は忘れてしまうので、週に1度などの頻度で犬が来客に対して反応しなくなるまで繰り返しましょう。
(4) 興奮し過ぎる。
「おすわり」をさせて、落ち着かせて下さい。
吠えたら、「ダメ」と叱ります。
落ち着いたら、犬をたくさん褒めてあげて下さい。
(5) 運動不足
散歩以外にもボール遊びや転がすとエサが出るボールなど色々と試して下さい。
ルームランナーという手段もあります。
まとめ
吠える原因は犬によって様々ですし、吠えやすい犬種も存在します。
子犬時代に吠えることはいけないこととしつけられてこなかったので、声が大きくなった成犬になったら問題化したというパターンがとても多いです。
吠える原因に応じた対処が必要で、根気強くしつけていく必要があります。
吠える癖は頑固な上に、原因によっては噛む行為にも発展しやすいため、しつけが難しいと感じたら、専門家の助力を仰ぐことが必要です。